LESBIAN CINEMA PARADISE

カリフォルニアからレズビアンの映画情報を中心にお届けします。

 

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初恋-第十一章


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第七章  第八章  第九章  第十章


日本に帰ったあたしは、昼間は何もかも始めての職場で仕事をしながら夜中と週末に修士論文を書くという、今思えばとんでもない無謀なことをやってのけ、大学院を何とか12月に卒業することができた。当然ながら卒業式には出なかったけれど。
しばらくして卒業証書が送られてきて、それを見て「ああ、卒業したんだな」とぼんやり思ったけれど、アメリカのことを振り返る余裕なんてなかった。

「逆カルチャーショック」という現象のことは知っていたけれど、そんなことよりあたしはとにかく「アメリカ帰り」とか「アメリカナイズされてる」とかって言われないように、職場ではとにかく頭を低くして目立たないようにしていた、つもりだった。
でも、自己主張をする、とか、自分の意見を言う、ということをアメリカで嫌というほど叩き込まれると、黙っているということがとても努力のいる行為だった。
それでも、本当に意識して貝のように口を閉ざして黙っていたつもりだったんだけど、何年も後になってその職場のボスから「○○さんはモノをはっきり言うからね」と言われて愕然とした。
あの努力はナンだったんだ・・・

そして、仕事と修士論文だけじゃなくて、あたしは日本に帰るや否や、日本のレズビアン・コミュニティーの情報も集め始めた。
何度も言うけど、インターネットがまだ一般には普及していなかったあの当時、自分でもどうやってそのテの情報を集めたのかよく覚えてないんだけど、レディース・コミックなんかを漁っているうちに、「フリーネ」というレズビアンの雑誌があることを知った。
その雑誌を近所の本屋で見つけてレジに持っていくとき、ものすごく緊張したのを覚えてる。
その雑誌だけ買うのは恥ずかしくて、欲しくもないのに他の雑誌も一緒に買った。

phryne.jpg


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「フリーネ」を手にして、食い入るように見入ったのが、友達募集欄。
でも、友達、が欲しいわけじゃなかった。
ただ、あのコが忘れたかった。
淋しさを紛らわせたかった。

何度も何度もその友達募集欄を隅から隅まで見て、どうしようか散々迷った。
編集部宛に手紙を送れば、相手に転送してくれるというシステムだったから、相手の住所もわからないし、名前もペンネームしかわからない。
この中の誰かにこっちから手紙を出すのがいいのか、次号に自分が募集記事を出して誰かがコンタクトしてくれるのを待つのがいいのか。
結局、自分の直感を頼りに、コレっと思った人数人に簡単な手紙を書いて送った。
自分で募集記事を出すと、全然興味の湧かない相手からも手紙が来る可能性があるわけで、そういう相手にイチイチ返事を出すのが面倒だった。

すると、しばらくして方々から返事が届いた。
その中の一人は募集の記事も返事もわりとちゃんとしていて、常識がありそうな人だったので、返事の返事を書いたら、その次に届いた手紙には相手の電話番号が書いてあって、あたしはその番号に電話をした。
電話恐怖症気味のあたしは、もんのすごく緊張して電話したんだけど、その電話の相手は、あたしの低い声とは対照的に、女の子らしいとても高い声で、その時何を話したかなんて全然覚えてないんだけど、あれよあれよと言う間に、近いうちに会おうということになった。

そして、その当日。
この日のこともほとんど記憶にないんだけど、その子の家の近くの居酒屋で会って、話をするだけだったはずなのに、誘われるままその子の家に行って飲み続け、その夜はその子の家に泊まることになった。
会ったばかりの子相手に下心も何もなかったんだけど、女の子が隣に横たわっているという状況に平静でいられるわけがなくて、掛け布団の下から手を伸ばしたらその手を握り返してきたので、その日は手をつないで眠った。

そして、その次の週末にはその子がうちに晩御飯を作りに来てくれた。
近所の駅まで迎えに行ったら、その子は既にエプロンをしていて、そのまま電車に乗って来たと聞いて、驚いた。
その夜、二人でベッドに横たわって、あたしは例によって、まだ会って間もないんだから、とジェントル・ウーマンに徹しようとじっとしていたら、その子がいきなりキスをしてきて、それでジェントル・ウーマンはいともあっさりと飛んでってしまった。
その子に覆いかぶさりながらキスをすると、その子があたしの耳元で囁いた。

抱いて・・・


今度は、あのコを抱いた時とは違って、絶頂に達したのがちゃんとわかった。



レズビアンのU-HAUL(ユーホール)現象そのまんま、とまでは行かないまでも、エプロンの子とは本当にあれよあれよと言う間にお互いのアパートを行き来するようになった。
そしてしばらくして、お金が必要だからって、その子は昔取った杵柄とやらで夜の仕事をまた始めるようになって、仕事のある日は明け方にあたしのアパートに帰ってくる、という日常が続いた。



そうこうするうちに春になって、うちの職場に大卒のピカピカ新入社員がやってきた。
その職場には、あたしより年下の大卒の人たちが何人もいたんだけど、その人たちはあたしから見ると「先輩」という立場で、なのにあたしの方が学歴も経験もある、っていう何だかとても複雑な関係で、お互いにどう接していいかわからないから、微妙な探りあいを続けていたんだけど、このピカピカちゃんとあたしは「後輩」と「先輩」というとってもわかりやすい関係で、この初めて出来た後輩をあたしはとても可愛がった。
その後輩もあたしのことをとても慕ってくれて、その子には日常業務だけじゃなくて、あたしたちの仕事の技術的なことも教えたりした。
しばらくすると、何となくその後輩が帰りの時間をあたしに合わせてるのかな?と思うことが何度かあった。
○○さん、もう帰っていいよ、と言うと、は~い、って返事はするんだけど、なかなか帰らない。
そんなある日、あたしが仕事を終えて更衣室に行くと、その後輩がいた。

あ、おつかれさまで~す!

後輩はあたしを見るなりそう声をかけて、あたしはそれに、あ、おつかれさま、といつも通りに応えて、いつも通り自分のロッカーを開けて着替えようとした。
すると、突然、何の前触れもなく、後輩はあたしの背中に抱きついてきた。
いや、抱きつく、という表現は当たってなくて、むしろ背中にそうっともたれ掛かってきた、と言った方がいいかもしれない。
本当に突然のことで、あたしはどうしていいのか、何を考えていいのかもわからず、ただそのままじっとしていた。
すると、

もう少しこのままでいいですか?

と、背後から後輩の声がした。

あ、うん・・・

二人以外には誰も残っていない職場の更衣室は、物音一つ聞こえなくて、自分の心臓の音がやたら大きく響いてきて、その音が後輩に聞こえてるんじゃないかってハラハラしながら、あたしは背中の温もりをじっと感じていた。


しばらくして、後輩はあたしの背中から離れて、

すみませんでした。

と、頭を下げて、そのまま足早に更衣室を出て行った。



その時まで、あたしはこの後輩の気持ちに全く気がついてなかったから、ただ先輩として慕ってくれてるんだとばかり思ってたから、あの時は本当に驚いた。

それからしばらくして、仕事帰りに二人で晩御飯でも食べようと立ち寄ったレストランで、あたしはこの後輩の決死の告白を聞くことになった。
決死の、というのが手にとってわかるほど、後輩は緊張していて、何度も何度もその言葉を呑み込みそうになっていたのを、あたしが無理やり言わせた、と言った方が正しいのかもしれない。

先輩のこと・・・ 好きなんです・・・
嫌ですか、こういうの・・・

こういうの、というのは女が女を好きになること、とすぐに理解したあたしは、そんなことない!と言おうとしたけれど、どう言っていいかわからなくて、

ちょ、ちょっと待って。
それは別に嫌じゃなくて、いや、あたしもそうなんだけど・・・

と、わけのわからない返事をしたら、

じゃ、付き合ってる人いるんですか?

と、後輩は訊いた。

あ・・・ うん・・・


そうですか、わかりました、じゃ諦めます。

そうハッキリと言った後輩の目には涙が浮かんでいて、そのまま席を立って行こうとした後輩をあたしは引き止めてしまった。

席に座りなおした後輩は、涙をこらえながらこう言った。

二番じゃ、ダメですか?

え・・・ 二番って・・・?

あまりにも意外な後輩のその言葉の意味が、よくわからなかった。

彼女さんがいてもいいです。二番にしてください。

そんな風に言う後輩が、とても愛しかった。

でも、今つきあってる子と別れるつもりないよ、それでもいいの?

今思うと、あの頃の自分は何て酷い人間だったんだ、と、自分で自分のことを殴りつけたくなるけれど、あの頃のあたしは、あのコを忘れるのに精一杯で、そのためにはこの後輩の気持ちもエプロンの子の気持ちも利用するような、本当に酷い人間だった。

はい、いいです。

後輩はそう言った。笑顔だった。


それから、あたしの二股生活が始まった。
そして、あのコを想い出すこともだんだん少なくなった夏の初めのある日、あろうことか、あのコから絵葉書が届いた。
絵葉書って言っても、向こうの大学のキャンパスの写真の何てことない絵葉書で、ひっくり返すとこんな文面が目に入った。

natちゃん、

お久しぶり、元気?
夏休みに日本に帰るけど、会える?

P.S. マーチンとは別れたよ。






I pretended I'm glad you went away
These four walls closin' more every day
And I'm dying inside
And nobody knows it but me
Like a clown I put on a show
The pain is real even if nobody knows
And I'm crying inside
And nobody knows it but me


第十二章に続く


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Comments

いやー、これは大河ドラマより熱いですわあ。
本当に、ありがとうございます。
 
長引かせていただく方が沢山楽しめます。
まず、長旅お疲れ様でした、と言いたいです。
私も初恋の続を待ちわびておりましたので本当に長く感じておりました。
次章、また次章と楽しみにしております。
 
>yukoさん
ははっ、大河ドラマって・・・v-356
今度はクールに!(・・・できるのか?)

>なつさん
いつもお待たせしてすみませ~んv-435
 

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Author:nat
アメリカ在住延べ17年のレズビアン。New YorkからTexasを経てCaliforniaに辿り着きました。世間ではカタイと思われる仕事をしてますが、自由度の高いところが気に入っています。花も恥らう四十路真っ只中。無口なくせにボケ&ツッコミを忘れない根っからの大阪人です。

*写真は実物と似ても似つかないことがありますので、ご注意ください。

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